ミントの種


"Beauty"

lyric&music:畑中茜


この歌のタイトルは、Beautyなんだけど、ブログタイトルはこの歌を書くきっかけになったお話からつけました。


名古屋にいる時、仲良くしていたご婦人の話。4人のお子さんを育てる母でもある彼女の目標は園芸療法士になること。


彼女がどうして園芸療法士を目指すことにしたのかを、話してくれたことがありました。子どもさんたちがまだ小さな頃、彼女は育児ノイローゼになったことがあったそうです。


誰にも悩みを打ち明けられず、人知れず家に籠る日々。大好きな庭の木々や花たちが枯れ果てていく様子にも、手入れをする気力も無くなって、何もできずに家の中から眺めていたそうです。


そんなある日、お隣の方が突然訪ねてきて、彼女に、ミントの種を渡したそうです。彼女は訳もわからないまま、そのミントを受け取って、その方は帰っていったそう。


きっと、お庭が荒れていたから、心配して様子を見に来てくれたんだな…と、彼女も最初は思っただけでした。ありがたいな、と。


でも、次の日、その方のお家からは誰も居なくなっていました。ご家族の事業が立ち行かなくなり、お家を引き払って、どこかへ行ってしまったということでした。どこへ行ったのか、近所の人たちも、誰も知らないとのことでした。


その方が、自分も住んでいた家を手放さなきゃいけなくなるほど、追い詰められて大変な中で、彼女のお家の、荒れ果てていくお庭を見て、彼女の苦しみに気付いていて、最後に彼女を励ましたい思いで、ミントの種を渡したのかと思うと、私は、涙が止まりませんでした。


彼女もその後、その方の残してくれた優しさに包まれながら、少しずつ、元気を取り戻していったそうです。そして、園芸療法士という目標に出会って、今は施設の花壇や街路の花のお世話をする、ボランティアにも参加しています。


人生は、うまくいく時もいかない時もあると思う。努力しても、努力しても、うまくいかない時も。


でも、それは決して敗北とかじゃないと、私は思うんです。


本当は自分が誰かに、すがりたいくらい苦しかったかも知れない、その中で、お隣の彼女の苦しみに、最後まで寄り添おうとした、その方の姿が、私にはすごく尊い生き方だと思いました。


自分でいっぱいいっぱいになっちゃうと、人に寄り添ってなんていられなくなっちゃうのが普通の世の中で、それでも、助けを求めることすらできない誰かの、声にならない声に気付けるってすごすぎる。


母が、昔、本当に幸せな人は、人の幸せを祈れる人だって、言ってたことがありました。


その方がその後、どうしているのかは、今もわからないそうです。でも、きっと大きな苦難を乗り越えて過ごされていると思いたいし、どんな状況にあっても、自分以外の誰かを励まし続けるその方の人生が、今どこかで、幸せであってほしいです。


そんな思いを込めて、また、自分もその方のようにありたいと思いながら、この歌を綴りました。


Musicsでは、歌詞も見ながら聴いていただけるので、ぜひ、そちらからも聴いてみてください。